猫とワタシ

ご供養物語

2014年6月 大日如来さまに導かれて始まった 広く深い故人のご供養のお話

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この記事のみを表示する30番目 千代さん

供養

 今夜は千代さんと仰る女性です。
昨日渋谷からの帰り道、薄いオレンジ色のバラを買ってきました。 なんとなく女性が良いかも と思ったのですが、前回も女性でしたね(笑)

 さて 千代さんですが、とてもしとやかな女性に思えましたが、生きざまをみせていただきますね とご供養の席から離れようとした瞬間、すごい形相の千代さんを見てしまいました。



 長い髪を粋に結い上げ、着物姿ですが長煙管をくゆらせながら、往来を見るともなしに見ています。
とても艶っぽい女性です。

遊女・・・

 大きな風呂敷で荷物を背負った男性がやってくると、すぐに長煙管を終いにし、階下へと足音も高く降りて行きました。

 そしてその男性が入ってくるを見ると、急にしおらしげになり 荷の中身を興味深そうに手に取りました。
櫛や簪を売り歩いているその男性は、名前を仙七といいました。


 いくつか気に入ったものを手にすると、千代さんは仙七さんの返事も待たずにかなり高額な金子を渡し、さーっと二階へ駆け上がっていきました。

 も もし これではいただきすぎです!

仙七さんの声を 嬉しそうに聞いています。


 これが月に一度の楽しみでした。


 千代さんはその置屋では売れっ子の遊女でしたから、千代さん目当てで来る男性は多くいました。その男性たちからもらった金子を、惜しげもなく仙七さんに渡していたのです。

 
 半年が経ち、仲間の遊女から仙七さんが嫁をもらった という噂を聞きました。
それっきり 千代さんは仙七さんに会うこともなく 身請けされ大事にされて生涯を終えました。
 


 別にどうという事はないのさ
勝手にあたしが入れあげたんだ
それさえ あの人は知らないんだろうけどね

 だけど 悔しいじゃないか
あたしの気持ちはどうなるのさ

そりゃあ そのあとあたしは幸せに暮らしたよ
亭主はあたしを大事にしてくれたからねえ

でもね 知りたいのさ
あたしのことをどう 思っていたのかってことさ
聞いたっていいでしょ?


 千代さんには木の実を渡し、仙七さんに来てもらいました。

 千代さんのことを聞いてみました。


 千代さん という名の遊女 ですか?
さあ どんな方なのか・・・
手前どもはお顔は存じ上げても 名前までは聞きませんので・・・

 いつも値段も聞かず 余分に渡してさっと二階へ駆け上がっていたそうですよ

 少し思案して、やっと仙七さんは合点がいったようです。
 

 ああ あの方・・・
はい 覚えております
常に過分にいただいておりました
おかげさまで蓄えも出来、お恵と夫婦になることができました
ありがたいお方です


 それを耳にすると、千代さんは仙七さんの前に出てきました。

 おお あなたが千代さんでしたか!
その節はご贔屓いただきまして ありがとうございます
おかげさまで 恋女房と所帯を持つことができました
ありがとうございます


 千代さんの手を押し頂き、仙七さんは満面の笑みで感謝を述べました。

 それを聞いて千代さんも 笑顔で言いました。

あたしの金子が役に立ったてわけだね
そりゃあ 良かった
それを聞いて 嬉しいよ

 
 そこへ お恵さんもやってきました。

お恵 この方がいつも話していたお方だよ

そうでしたか ありがとうございます
おかげさまで この人と一緒になれました

 お恵さんも何度も何度も 頭を下げ お礼を言いました。


 そして ふたりは失礼します と先に光の元へと還っていきました。

 
 千代さんは とみると、さほど満足げでもなく つまらなそうにしています。


 どうしました?

いえね どうやらあたしは仙七さんたちの結びの神になったらしいけど・・・

なんだか あほらしい って気にもなっちまいましたよ


そう言って、あははっ と笑いました。
笑っているうちに、千代さんの目からは大粒の涙がこぼれ落ちました。


 言わなくてよかった・・・

そうぽつんとつぶやきました。


本当に言わなくて 良かった と思われますか?
確かに 言っても実らない恋だったかもしれません。
言っていたら どうなっていたと思われますか?


 そんなこと あたしはわからないよ
言っても駄目なら、言わないに越したことはないさ
だって 駄目だとわかったら 悲しいじゃないか・・・


 でも 言わなくても長い間 もやもやした気持ちは消えなかったのでしょ?


 そうだわねえ・・・
亭主もあたしを好いてる ってはっきり言ってくれたから、あたしは一緒になったんだ・・・

 まさか あの人があたしを好いていて 女房に望んでいたなんて 思わなかったから・・・

 そうだわねえ 言ってみればこんなに長い間 もやもやせずに済んだんだねえ

おお 嫌だ あたしとしたことが


そう言って身震いすると、またあははっ と大きな声で笑いました。

そして そのまま光の元へと還っていきました。
羽衣をひるがえした 天女が千代さんのそばにやってきました。

楽しそうに語らいながら どんどん 昇っていきました。




ありがとうございます。

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