猫とワタシ

ご供養物語

2014年6月 大日如来さまに導かれて始まった 広く深い故人のご供養のお話

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この記事のみを表示する29番目 美和さん

供養

 今朝は 美和さんと仰る女性です。


 きちんと正座され、扇をその膝の前に置いて そして丁寧にご挨拶くださいました。

 了解を得て さっそく生きざまをみせていただきました。

 池の鯉に餌を与えている男の子と乳母の姿を、肩を並べてみている男女。この女性が美和さんです。
平安時代? もう少し先でしょうか。とても身分の高い方のようです。

 一緒に子どもの様子を見ていた男性は、美和さんの夫。とても幸せに過ごしていました。

ところが夫の様子が変わってきました。なにか悩んでいるようですが、美和さんに詳しくは教えてくれません。
それでも、何かあったときは、息子と逃げるように と言いました。

 幸せだった毎日が不安な日々に変わりました。そしてある日、大勢の男たちがやってきて、夫を縛り連れて行きました。

 
 美和さんは乳母と息子新之助さんを連れて屋敷から逃れました。
まだ幼い新之助さんを連れての旅は苦労の連続でしたし、夫のことも気にかかります。
それでも 美和さんは新之助さんに希望を託して、必死で遠くへ遠くへと逃げて行きました。


 そんなある日、声をかけてきた数人の男たち。
美和さんも乳母も警戒しましたが、彼らは新之助さんのお気に入りになりました。
そして 数日一緒に旅を続けました。

 良い人たち・・・

そんな風に思い始めた翌日、男たちは新之助さんと美和さんたちを引き離しました。

 
 気が付けば、美和さんは山賊の頭領の屋敷に居ました。
その屋敷で、丁重にもてなされ 頭領の妻になりました。乳母もそこで美和さんの侍女として仕えました。


 おんなは 殿方を選ばなければ、どこででも生きていけます

 美和さんは寂しそうに言いました。

私はその後 さほどの不自由もなく 侍女となった乳母と共に暮らしました

でも、新之助はどうなったのでしょう・・・
誰に聞いても教えてはくれませんでした
あのまま 殺されてしまったのでしょうか?
それとも 私たちのように それなりに暮らすことができたのでしょうか?

 それが知りたくて 死んでも死にきれません


 美和さんには木の実を差し上げて、まずは侍女の女性に声を掛けました。
ふたりは抱き合って 泣いています。

 その後新之助さんにも来てもらいました。

立派な男の人になっていました。
思わず 美和さんも侍女も 目を見張りました。
言われなければ、どこかですれ違っても通り過ぎてしまうでしょう。

 母上、由利も しばらくでした

そんな風に始めました。
あの時 新之助さんは自分の身に何が起こったのか まったくわからなかったそうです。

 いずれ 母上たちもやってくるから そう言い聞かされて、船に乗り込んだそうです。
でも 待っても待っても 母上の姿は見えない。

 何日も泣いて暮らしたそうです。
しかし 海賊の頭領はいつまでもそんな新之助さんを許してはくれませんでした。

 やがて新之助さんはその海賊仲間のうちでは誰にも負けない剣の使い手になりました。


 母上 それでも私は人を殺めたことはありません
金品を奪う それは仲間として生きる以上仕方のないことでした
でも 私が幼いころ父上から教えられたのは、そんなことではなかった
それだけは、胸を張って言えます


 美和さんも由利さんも 新之助さんの手を取り、あふれる涙を止めることができません。


 私はその海賊の頭になりました
数年は同じように金品を奪う生活をしましたが、その後は土地を手に入れ 村の物と同様に 自分たちで生活することを選びました

 いつか 母上にお目にかかることを夢に見て、決して恥ずかしくない自分でいたい と願っていました
いま やっとその願いが叶い、この喜びは到底口では言い表すことができません


 新之助さんも男泣きに泣いています。


そう言えば 父上は?

 その声に我に返る美和さん。

そうでした 旦那さまにもお会いしたい・・・


 旦那さまが現れました。

 最初に美和さんをしっかりと抱きしめ、次に乳母だった由利さんの手を取り、その後感無量といった体で新之助さんを見つめました。


 そなたが新之助か?

はい 父上 


 もう二人にそれ以上の言葉は必要ありませんでした。
しっかりと抱き合い、静かに泣いています。

その姿を幸せそうに見つめる美和さん・・・


 いろいろな思いはみなさんおありでしょうが、木の下でしばらく静かに木の実を召し上がっておいででした。


 やがて 立派な宝船がやってきて、4人はその船に乗り込みました。
宝船はゆっくりと浮かび そして蒼穹を目指しました。

 船の上では、美和さんはじめ皆さんが ゆったりと笑顔で手を振り続けていました。



 生きざまをみせていただいている途中で、山椒大夫の話が浮かびました。

美和さんと新之助さんの人生は、子供のころに読んだ安寿と厨子王のような 過酷なものではなかったようですが、今も世界のどこかでは人身売買が行われている という事実を思った朝でした。
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