猫とワタシ

ご供養物語

2014年6月 大日如来さまに導かれて始まった 広く深い故人のご供養のお話

この記事のみを表示する57番目は房子さん

供養

 しばらく空きましたが、また ご供養を始めます。

今日は57番目 房子さんです。


房子さんはスカーフを被って出て来られました。

あなたは私を知っている と開口一番に言われました。

今世の話ですか? と聞くと、そうだ と仰います。
しかし 私の記憶の中に房子という名前の友人知人はいません。
すっかり 忘れている人なのでしょうか。

それはさておき、何がつらいのですか? そう聞きました。
話がうまく噛み合わないので、今日のご供養の木の実 林檎をお渡しして、生き様をみせていただくことにしました。


いきなり砂漠地帯での戦争の様子が現れました。
戦車が唸りをあげて走り、轟音を立てて周囲を破壊しています。
しばらくすると、その様子は変わっていき 次は破壊された土の家の前で座る少女たちがこちらをじっと見つめています。

どういうことでしょう?

木の実をひとつ 食べ終えた房子さんがそばに来ていました。
いきなりスカーフを外すと激しい勢いで言いました。

私はこの美貌と頭脳で世界を変えようとした
けれど 行く先々 出会う人々は私の期待には添えなかった
なぜなんだ?
私の思想は素晴らしいものなのに、なぜ皆は共感しない?
なぜ 共に戦おうとしない?

まだまだ 血気盛んでこれではご供養できません。
と言っても、房子さんは目も耳もない 髑髏の姿でした。

そこで、大きな愛と信頼の木の下にお連れして、この木の実を思う存分食べてください と伝えました。

手の届く木の実をもいで、餓鬼のようにむしゃぶりつきました。

その間に、あなたと関わった人たちに来てもらって話を聞いても良いですか?

そう聞くと ああ 私の素晴らしさを伝えてくれるだろうよ と振り向きもせず 答えました。


私の目の前には、長蛇の列が出来ていました。

どういう方でしたか?

憧れました
素晴らしい思想だと思いました
必死で彼女についていきました
彼女も私を信じている と言ってくれました

でも ふと違和感を感じてそれを伝えたら、私の命は終わりになりました


ほとんどの人がそう 言いました。

素晴らしい人
美しい人
憧れの人

言い方は少しずつ違っても、彼女を崇めたことは間違いありませんでした。

それでも・・・

皆が異口同音に語ったのは、

信じている と言ってくれていたのに、些細な反論の言葉で 相手にしてもらえなくなった
そうではないかもしれない と言ったら、牢に入れられた

信じている という言葉は嘘だったのだろうか

そうも言いました。

話が尽きたので、その人たちも愛と信頼の木の下にお連れしました。


房子さんはまだ 必死で食べています。

あとから食べ始めた人たちは、みな 充分に食べるとひとり ふたりと木の下から離れていきました。
気が付くと、房子さん一人になっていました。

それでも 房子さんは食べる手を止めません。

ようやく 房子さんが食べることを止めたとき、彼女の手は肉がついて白く優しい手になっていました。
その手にポツンと涙が落ちました。

そしてその手で 自分の顔を触りました。

ふっくらと肉付きの良い肌に ほんのり紅をさしたような頬
くっきりと強い意志を示すような眉もありました。
もちろん 髪の毛もツヤツヤと肩先に流れています。

ああー

房子さんは顔を覆って激しく泣き出しました。
暫くは泣くに任せていましたが、肩にそっと手を置くと 静かに顔をあげました。


私はなんてことをしたのでしょう
ごめんなさい
ごめんなさい

そう言って また泣きました。

周囲には、一旦は木の下から離れた 昔の同志たちが再び集まってきました。

房子さん 泣かないで

そっと手を掛けました。
その人の顔を見て、また ごめんなさい と言い、激しく泣きました。
どの人にも 同じように 謝って そして 泣いていました。

誰も房子さんを責めません。
それが 房子さんには余計につらかったかもしれません。

やがて 空から金色の光が降りてきました。
その光を皆で浴びて、同志だった人たちはそれぞれが 笑いあい 語り合いながら 光の元へと続く階段を昇っていきました。

最後に残った房子さんは、天使たちに導かれ ゆっくりと笑顔で階段を昇っていきました。





房子 という名前は、あの人しか思い当りません。
今 どうしているのだろう?
ネットで調べてみました。
現在 八王子医療刑務所にて服役中 だそうです。

存命の方のご供養は初めてです。
これで こころ静かに光の元へと還られるでしょう。

波乱万丈な 人生・・・
ご苦労さまでした。




関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

secret