猫とワタシ

ご供養物語

2014年6月 大日如来さまに導かれて始まった 広く深い故人のご供養のお話

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この記事のみを表示する51番目は三郎さん

供養

 51番目にご供養させていただいた方は、三郎さん と仰います。

はっきりと記憶できていないというのは、陰の薄い方だったからもしれませんが、細面の男性だったように思います。
身なりはしっかりと整えておられました。

どんなことが心残りになっているのですか? とお聞きしました。

ビジョンは、学生帽を被った低学年らしい男児と、ふろしき包みを抱えた和服の女性がこちらに向かって歩いてきています。
その後ろには、鳥打帽を被った年配の男性の姿。

ほとんどの場合、背中を向けているので帰っていることがわかるのですが、お顔が見えるので家を出られたのだな と想像がつきます。


父親が亡くなった後、母親と二人で故郷を後にしたそうです。
母親は紹介された店で、酌婦として仕事を始めました。
夕方からひとり残される三郎さんは、寂しくてある日、そっと母親の店に行ったそうです。

酌婦という仕事がどんなものか三郎さんは知りませんでしたが、たくさんの男たちに尻や胸を触られている母親を見るのは、どうにも嫌な気分でした。

父親が亡くなるまでは、綺麗な着物を着て髪も豊かに結い上げて、それは眩いばかりの美しい母だったのに、今は品のない派手な着物に身を包み、尻や胸を触られても怒りもせずに 笑っている・・・

そんな母親を嫌悪するようになりました。
一切話をしませんでした。
どうしても必要なことがあれば、紙に書いて渡しました。

目を合わせることもありません。

そんな三郎さんを、母親はどんな思いで育てたのでしょう・・・

成績の良かった三郎さんは、離れた地域の学校に進みました。
そして、就職しました。
給料をもらえるようになると、母親からの仕送りは住所不定という事にして送り返すことにしました。

そうやって、母親との縁を切ったのです。

やがて妻を娶り、妻の両親と一緒に暮らすようになりました。
とても素晴らしい人格者だった妻の父親が、ある日三郎さんに言いました。

君は両親の話をすることがないが、おふたりはどうされているんだね?

三郎さんは、初めて母親のことを素直に話しました。
この人なら、自分の思いを理解してくれる と思ったからです。

舅は、思いがけない話を聞かせてくれました。

自分の母親も父親亡き後、女手一つで育ててくれたのだよ
君と同じ思いをしたことがあるんだ
運良く、妻と出会い幸せになれた
娘が出来てから、親の立場でものを考えることが出来るようになり、母親に会いに行ったが既に亡くなっていたのだよ

君の故郷へ行ってみたらどうかね


美しかった母を想い、見知らぬ男たちに尻や胸を触られている母を想うといまだに良い気持ちはしませんでしたが、どんな暮らしをしているのか、気になりました。

結局、舅と同じ。
母は既に亡くなっていました。


あれから私のこころは、母に申し訳なかった という気持ちが消えたことはありません
仕事などしたことがなかった母には、あれしかできなかったのでしょう
しかも 男たちに身体を触られることも、喜んでいたわけではないはず
私を育てるために、必死だったと今はそう 思います

就職してからの私は、母のことをきれいさっぱり切り捨てました
どんなにか 寂しかったことでしょう・・・


そこで、母親に来ていただきました。

老いてもとても美しい方です。

そうでしたか・・・
三郎さんがそんなことを・・・

遠い目をして、母親は話を始めました。

私には三郎ひとりなのですが、実は後添えでしてね
先妻の息子がふたりいたのです
ですから、夫が亡くなると私たちは追い出された格好になりました

店に人を雇い入れるときに世話になっていた男に、私たちは連れられて家を出ました
連れて行かれた先は、一膳めし屋のようなところで・・・

自分で言うのもお恥ずかしいのですが、器量だけは良かったんです
ですからお店の評判は上がり、お給金もしっかりといただくことが出来ました

でもね・・・
三郎さんはすっかり変わってしまって・・・

そこへ三郎さんがやって来ました。

母親を見つけると、駆け寄り母の手を取ってしっかりと顔を見つめました。

おかあさん・・・
随分ひどいことをしてしまいました
どうか 赦してください

そう言うと、大粒の涙をぽろぽろとこぼしました。

母親は、片方の手を引き抜くと三郎さんの背中に回しました。

ご立派になられて・・・
あなたは自慢の息子でしたよ

そう言ってほほ笑みました。
しばらくして、一緒に光の元へと還られるのかと思いきや、母親は三郎さんに先に行くように伝えました。
少し不安げでしたが、三郎さんはひとりで還っていかれました。

お願いがあります

母親が言いました。

三郎さんが出て行ったあと、私は娘を産みました
その子は父親に引き取られ、会うこともままなりませんでしたが、その娘に会う事は叶うでしょうか?

早速 娘さんの様子を見ました。

どうしますか?
お話をされますか?

いえいえ、私が母親だとは知らされていないはず
どんな風に育ったか、それさえわかればそれで充分です

では と、一緒に娘さんの様子を見ることにしました。

とても美しい女性に育っていました。
着ているものや物腰からも、大切に育てられたことがわかります。

良かった・・・

私の子供たちは、幸せになる事が出来たのね・・・

三郎さんと会った時にはこぼさなかった涙をはらはらとこぼしました。

もう心残りはありません

そう言うと、背筋を伸ばし 三郎さんの姿を探すかのように天を見上げ、静かに還っていかれました。


ありがとうございます(^人^)


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