猫とワタシ

ご供養物語

2014年6月 大日如来さまに導かれて始まった 広く深い故人のご供養のお話

この記事のみを表示する49番目は省二さん

供養

49番目にご供養させていただいた方は、省二さんと仰います。

珍しいことに、名字を先に教えられました。ですから、初めてでしょうか? フルネームでのご供養です。
と言っても、こちらでは省二さんでお話させていただきます。

省二さんはそうですね、どこと言って特徴のない、でもとても性格の良さそうな方でした。


どうされましたか?

はい、私はずっと『美しい人』という言葉が気になっています

『美しい人』ですか?
どういう意味でしょう?

はい、私は子供のころからずっと、『美しい人』ということに興味がありました
ですから、父母たちは美術年鑑などを私用に買い与え、美しいとは? ということを教えようとしました
でも、私はそういう目に見えるものではない、と幼いころに気が付きました

年頃になると、見目麗しき女性を次々に紹介されましたが、私が選んだのは咲江という女性です

では、と咲江さんにも来ていただきました。
咲江さんは、肉付きの良いとてもふっくらとした可愛らしい女性ですが、美しいという形容詞は少し違う気がしました。

省二さんを見ると、咲江さんはとても嬉しそうな表情になりましたが、すぐに伏し目がちになり声を掛けられても上手に
話をすることが出来ません。


私は咲江を 『美しい人』 として選びました
しかし、世間はおろか、咲江自身も 『美しい人』 というと、馬鹿にされていると感じているようです
私はそれがとても悲しいのです

わかりました。
それでは、省二さんは木の実を食べていてください。
私は咲江さんとお話させていただきますね。

そう言って、咲江さんと一緒に少し離れた場所に歩いて行きました。
その道すがら、咲江さんは思いがけない行動をとりました。

花が咲いているとしゃがみこんで、花とお喋りします。
鳥の声が聞こえると、すぐにご自分も同様に鳥の声でお話をします。
そういう咲江さんは、とても美しく見えました。

咲江さん、少しお話を伺ってよろしいですか?

そう切り出すと、また不安そうな伏し目がちになり、小さな声で 「はい」 と返事をしてくださいました。

省二さんはあなたを 『美しい人』 として妻にされたと聞きました
そのことをとても誇りに思っておられるようですが、あなたはそうではないようですね?

咲江さんは、はっと驚いた表情になりましたが、やっぱり伏し目がちに小さな声で話を始めました。

彼は私をいつも 『美しい人』 と呼びました
それは二人きりの時も、家族や友人がいる時も全く変わりませんでした
でも・・・
私はとても恥ずかしかった
なぜ こんな私を 『美しい人』 と呼ぶのか、わけがわからなかったのです

彼の両親も、友人たちも、彼が居る場所では彼と同じように賞賛の目で私を見るのですが、彼が席を外すと途端に
私は透明人間になっていました

そんなことを彼は知ろうとしませんでした
私は彼と二人でいることさえ だんだんと嫌になってしまったのです


そうでしたか・・・

では省二さんに来ていただきましょうね、あなたは木の実を食べていてください

省二さんに咲江さんの言葉をみな 伝えました。

そうでしたか・・・
私の家族も友人たちも・・・
そんな態度をとっていたのですね、可哀想に・・・

私には、咲江の美しいこころが良くわかりました
だから そばに居させてほしかった
ほかの人にも、咲江の美しいこころに触れてほしかった
だから、出来るだけ多くの人に咲江を紹介しようとしました

けれどそうするたびに、咲江は私を避けるようになってしまって・・・

私は咲江にひどいことをしていたのですね

いえいえ そうではないと思いますよ
確かに咲江さんの気持ちを聞かずに、たくさんの方に紹介しようとしたあなたは咲江さんを傷つけたかもしれません
でも、それは咲江さんに対する愛情からですよね?
決してあなたが悪かったわけではありませんよ

そう言うと、省二さんは少し安堵した表情になりました。

それにしても・・・
なぜ みんなは咲江の美しさがわからないのだろう・・・

省二さん、それもほかの人たちが悪いわけでも、間違っている訳でもないと思いますよ
咲江さんは、ご自分の美しい姿を誰にも見せようとされなかった
あなたに対しても、見せようとしたのではなく、あなたが見てしまった
そういうことのようですから・・・

省二さんは、きょとんとした表情で私を見ました。

先ほど、咲江さんの本当の姿を垣間見ました
花にも 小鳥にも それは優しく語りかけておられました
その姿は、とてもこころ温まる美しい姿でした

そうなんです
それなんですよ、私の知っている咲江の本当の 姿は、それなんですよ!

省二さんは我が意を得たり! とばかりに、必死で私に訴えかけられました。

そうでしたか・・・
ここは、なぜ咲江さんがご自分に自信がないのか 知る必要があるかもしれませんね

改めて、咲江さんに来ていただきました。

咲江さん、なぜあなたはほかの人の目を気にするのですか?
省二さんの言葉を信じないのですか?

驚いたような表情を見せても、すぐに伏し目がちになります。
そして、ぽつりぽつりと話はじめました。

私は気が付いたときにはもう、太っていました
両親も周りの人も、私ほど太っている人はいません
いろんなことが人と違っていました
その度に、使用人たちは大きなため息をついていました

両親は可愛がってくれましたが、やはり私を憐れんでいるようにも見えました
だから、省二さんが結婚を申し込んで下さった時、喜ぶと同時に大きな不安が押し寄せました

彼の態度はずっと変わりませんでした
優しい目で私を見つめてくれ、あたたかい言葉を掛けてくれました
でも、たくさんの人に会せようとしました

私はとても悲しかった
私はひとりで居たかったし、花や小鳥たちがいればそれで幸せだったのですから・・・

そうでしたね
彼の態度があなたを傷つけたようですが、咲江さんは彼がなぜ あなたを紹介しようとしたか 
おわかりですか?

えっ そんなことは考えたことがありません

そうですね、あなたはご自分の気持ちに精一杯で、省二さんの気持ちには気が付いておられなかった
彼はあなたが自慢だったのですよ
花や小鳥と自由にお話が出来る 優しくてあたたかいあなたの人柄をとても愛していました
その姿を見ることが、省二さんの喜びだったのです

ですから、ほかの人にも同じように幸せに感じてほしい、と思い、あなたを紹介していたのです


咲江さんは涙をぽろぽろこぼしながら、地面に膝をつき声をあげて泣き出しました。

慌てて駆け寄る省二さん。。。
咲江さんをしっかりと抱きしめると、泣かないでおくれ 泣かないでおくれよ と切なそうに何度も
繰り返しています。

ああ あなた・・・
ごめんなさい

ごめんなさい
ごめんなさい・・・

咲江さんは、何度も省二さんに謝りました。

いやいや 僕の方こそ悪かったね
咲江がそんな風に思っているとは知らず、無理強いしていたんだね
申し訳なかった・・・

そして 言いました。

咲江 あなたは本当に美しい人だ、私は自分の選択を間違っていたと思ったことは、一度もないんだよ
もっとあなたも自分を信じてほしい
もっともっと、僕を信じてほしい

泣きながら、咲江さんはうんうんと頷きました。

そうするたびに、咲江さんの身体は少しずつほっそりと変わっていき、やがて誰が見ても見た目も美しい人になりました。

でも省二さんはそのことにまったく気が付きません。

咲江
ありがとう
これでようやくあなたを幸せにすることが出来たんだね

あなた
私こそ ありがとう
もっと早くあなたの言葉を信じることが出来ていたら・・・

良いんだよ
ちゃんとわかり合えたんだから

そう言うと、ふたりはしっかりと手を繋ぎ光の元を目指しました。

ふたりが旅立った後、ひらひらと白い羽が舞い落ちてきました。


ありがとうございます(^人^)

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