猫とワタシ

ご供養物語

2014年6月 大日如来さまに導かれて始まった 広く深い故人のご供養のお話

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この記事のみを表示する48番目は十吉さん

供養

48番目にご供養させていただいたのは、十吉(とおきち)さんです。

十吉さんは駕籠かきだったそうです。
相方と一緒に、言われるまま西へ東へと籠を担いで走ったそうです。

そんな十吉さんには、どんな思い残したことがあるのでしょう?


 いろんな場面に出会いましたさ
侍同士が斬り合いをする そんなこたぁ 何度も見ましたさ
そういう時は、ただただ隠れて自分の身を守るしか手立てはねぇ

だけど、奥方が切り殺された時は、そんなわが身を情けないと思ったね・・・

十吉さんたちは、その日も遠いところまで走ったそうです。
とっぷりと日も暮れてやっと地元へ帰り着いた、そんな時だったそうです。

ザザザっと数人の足音がしたので、大きな木の陰で休んでいた十吉さんたちはそちらを見たそうです。
夜目にも白い着物を着た女の人が、数人の侍に追われていました。
とっさに 籠に身を隠した十吉さん。

侍たちは、女の人に追いつきぐるりと取り囲むと、しばらくはにらみ合いをしていましたがやがて、斬れ という離れたところからの声に従い、袈裟懸けに斬りつけました。

倒れた女の人の着物を剥ぎ、襦袢だけにすると近くの大川にザブンと捨てました。

その一部始終を見ていた十吉さんは、ただおびえて隠れていただけでした。

あっしはそんな自分に嫌気がさしたんでさぁ
たった一人の女を、数人の侍が取り囲んでいたぶった挙句殺して、着物を剥いで大川に捨てっちまうなんざ、まともな人間のすることじゃねぇ

それをただ見ていただけのあっしも、やっぱり人間じゃねえ

悔しくってねぇ 
哀しくってねぇ
だけど どうしようもありゃしねえ

どこぞの武家の奥方だろうが、詫びを言いたいんでさあ


それでは、その奥方を呼びましょうね。

綺麗に身なりを整えて、その女性は現れました。
十吉さんが一部始終を見ていた と話すと、女性は言いました。

そうでしたか
それはお恥ずかしいところをお見せいたしました

そう言って、静かに十吉さんに頭を下げました。

そして遠くを見るような目で話し始めました。

おなごに産まれたことが口惜しい
おなごはただ、綺麗に着飾って殿方の言いなりになる
そんな時代に産まれたことが口惜しい
わたくしにも、情勢を見る力も、考える力もあったのに・・・
おなごと言うだけで、相手にされずあろうことか命まで奪われるとは・・・

次の世に産まれたなら、私はおなごでもきちんとものを言い、おなごが生きやすいような政をしたい

最後はキッと前を見据えて、強い覚悟のほどを見せてくださいました。
そして、また優しい目になると十吉さんに言いました。

ありがとうございます
そなたのおかげで私は救われました

ゆっくりと微笑み、背筋を伸ばしたまま すーっと光の元へと昇っていきました。


呆気にとられたようにその様子を見守っていた十吉さんが、我に返り大きく息をつきました。

あれで良かったんですね
ありがとうございます って、あっしに言ったんですよね?
そうかぁ ありがとうございますって 言ってくださったんだ

十吉さんの顔が明るくなりました。
そして、一目散に光の元へと駆けていきました。


ありがとうございます(^人^)
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