猫とワタシ

ご供養物語

2014年6月 大日如来さまに導かれて始まった 広く深い故人のご供養のお話

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この記事のみを表示する46番目は伊兵衛さん

供養

新しい年 最初のご供養は、46番目 伊兵衛さんとすずさんのお話です。


伊兵衛さんは魚河岸で魚を仕入れ、天秤棒を担いで魚を売り歩いていました。
とても気風が良くて 贔屓筋も多かった と仰います。

家にかえりやあ かかあがにっこり おかえんなさい って言う
そんな生き方をたのしんでいたんでさあ

とても朗らかで、健康そうで いい男!

そんな伊兵衛さんが、どうしても聞きてぇ ことがある と仰います。


俺は 朝早く起きるなんざ ちっとも苦にならねぇ 働き者よ!
そんな俺には すず ってぇ 可愛い女房がいたんだ

その日の稼ぎをかかあに渡し、俺は仕入れの金と一杯飲めるだけの金を懐に入れていたさ

それで充分だった

だけどよ ある時やくざに絡まれたんだ
何をしたわけじゃあ ねえ
何もしていねえのに、絡まれちまったんだ

それで 稼ぎも仕入れの金も取られちまった

かかあは 何にもいわねぇで 仕入れの足しにして と金を渡してくれた
おれは また魚河岸に行ったさ

でもな 何日かすると また例のやくざがおれを待ってるんだ

で 結局 やれちまって 死んじまった ってわけさ
その時、やくざが妙なことを言ったんだ

すべては おめえのかかあが元だ ってな

おれは その意味をしりてぇ


そうですか・・・
では すずさんに来ていただきましょう。

現れたすずさんは 粋な姐さん といった風情で、後ろには目つきの悪い男衆を何人も引き連れていました。

すずさん ですよね

ああ 確かにあたしが 伊兵衛の女房だった すずですよ

随分イメージが違うので 驚きました

あっはっは そうでしょうねぇ
あたしは 伊兵衛が死んでから 大きく人生が変わりました
それを悔いちゃあ いないんです

そのようですね
ちょっとお伺いしますが・・・

今のお姿と、伊兵衛さんがやくざものに絡まれた ということに繋がりはあるのですか?

お恥ずかしい話ですが・・・

とすずさんは語り始めました。


 夫婦と言っても、すれ違いの生活。
もちろん すずさんは縫い物をしたり 伊兵衛さんの世話をしたり という生活でしたが、朝早く伊兵衛さんを送り出した後は、もう一度寝て 人並みの朝になると起き出していました。

ですから、伊兵衛さんが帰って来て 夕餉を済ませて寝る時間は、すずさんにとってはまだまだ夕方。
それからの時間が長かった と仰います。

誘われて 賭場に行くようになり、おもしろいように勝ったそうです。
それを恨んで 伊兵衛さんが絡まれたのではないか と。

そういうことでしたか・・・

そこへ 伊兵衛さんがやってきました。

おめえ そんなことをしていたのか
まあな おれにとっちゃあ 帰ったときのおめえの笑顔が一番だったからなぁ
おめえが何が好きか 何を楽しいとおもうか なんてこたあ まったく気にも留めなかったからなあ

そうさねぇ
あんたはあたしに その日の稼ぎを渡してくれて それだけ だったねぇ(笑)
いつまでも あたしはおぼこのままだった

おんなとして見てくれたことはなかったんだ
あたしはそれが寂しかった

ややこはまだか? と聞かれても、どうすればややこが出来るのか それさえも知らなかったんだから


おやおや 夫婦 ではなかったのですか?

いやあ 夫婦とはいっても、すずを抱いたことはない
そんなことは 出来なかったんだ
神々しくってよ

馬鹿だね あんたは・・・

すずさんは 少し嬉しそうです。

他に楽しみもなくてね それで賭場に出入りするようになったのさ
そこで親分さんに見初められてね

おめえ まさか?

馬鹿だねぇ あんたは・・・
あんたが生きている間は きっちり 操を守りとおしましたさ
ただ それがあんたを早死にさせたんだねぇ

そういうことか・・・

悪かったなあ
おれが おめえを抱いていりゃあ こんなことにはならなかったかもしれねえなあ

そうかもしれないけど、あたしは自分の人生を悔いちゃ いませんよ


なんとも 小気味よい台詞を吐く 姐さんです。

そうか おめえがそういうなら それでいいさ
俺はおめえが元だ って言ったやくざの言葉が気に掛かっていたからよう
それがわかりゃあ それで良いんだ

しばらく 意気消沈したように伊兵衛さんはうなだれていました。
そして 木の実を食べていました。

何かが吹っ切れたように立ち上がると、すずさんに言いました。

もし もしもよ 次の世でおめえと出会うことがあったら もっと一緒に生きてえなあ

それを受けて すずさんが言いました。

そうだね
でも 夫婦はもう ごめんですよ
兄弟や親子なら 良いかもしれませんね

しっかりと 手を握り、お互いの目を見つめていました。

そして すーっと 光の元へと還っていきました。

 すずさんを護るように来た 男衆は、ふたりが話している間 所在なさそうにしていましたが、木の実を見つけるとみなさん 手に取って食べ始めました。

そして ひとり また一人 と光の元へと還っていきました。


ありがとうございます(^人^)

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