猫とワタシ

ご供養物語

2014年6月 大日如来さまに導かれて始まった 広く深い故人のご供養のお話

この記事のみを表示する36番目 長次さん

供養

 私事ながら、6月腰を痛めて ほぼひと月 寝たり起きたりの生活をしました。
その間 御宿かわせみ を皮切りに、時代物のドラマや映画をこれでもか というくらい観ました。

 今日 半年ぶりのご供養ではそのイメージが強く、何度も深呼吸が必要になりました(笑)

 江戸時代の理不尽な生かされ方を繰り返し観たことで、それが小説を元にしたドラマであってもたくさんの方たちに愛と信頼の木の実を食べていただくことが出来ました。
無駄なことはひとつもない 怠けすぎたかな と思う私に、そんな言葉がおりてきました。


さあ 36番目の長次さんのご供養物語に移りましょう。

 長次さんは小ざっぱりとしたなりの町人でした。
およねさんという とても笑顔の可愛い 働き者の女房が居ます。
おてい という娘と、名前を教えてもらえなかった息子もいて それは楽しく暮らしていました。

 と言っても、長次さんは遊び人というのが仕事。まともな仕事には就いていません。
ですから、およねさんが一生懸命 縫物をして暮らしていました。


 長次さんは言います。

 あっしは父親が長患いのうえ死んじまって、おっかあも惨めな暮らしをしていました。
子供のころから 笑い声なんか聞こえてこない くら~い暮らしをしていたんでさあ。

おとなになって、一膳めし屋で働いているおよねと出会ってみると、人ってぇのは こんなに笑えるんだな と大いに驚きました。
そんなおよねとあったけぇ暮らしがしたくて 夫婦になったんでさあ。

それでも あっしはまともな仕事に就くこともせず、もっぱらおよねの手仕事で食いつないでいたんでさあ。

ある日 あっしは遊び人仲間に持ちかけられた仕事でしくじっちまって、殺されかけたんでさあ。
それが恐ろしくて およねと子供たちを置いて、ひとりで町をでたんでさあ。

どうなったか それを思うとおちおち死んでもいられませんや。


 それでは と長次さんには木の実を渡し、およねさんに来ていただきました。

 
事情を説明すると、およねさんは子供たちがどうなったのか 知りたい と仰いましたから、おていさんと息子さんにも来ていただきました。

 おていさんは、長次さんが出奔した後父親の遊び人仲間におよねさんを殺され、置屋に売り飛ばされていました。

 私はあの時 10歳でした。怖かった とても恐ろしかった・・・
置屋に連れて行かれ、下働きを数年した後 私も女郎になりました。
父を恨んだことはありませんが、なぜ こんなことになったのだろう と繰り返し考えました。

結果、おていさんは女郎になってそれほどの年月も経たないうちに病気になって死んだそうです。

息子さんは8歳でした。 父親が居なくなり、母親は目の前で切り殺されて、姉とは離れ離れにされました。

 4人で暮らしていたころは、あんなに楽しかったのに・・・
みすぼらしい うす汚れた部屋で、使いに出され 殴られ 蹴られて 数年を過ごしたそうです。
ある程度の年齢になると、悪事を仕込まれ 裏街道を生きたようです。

おていさん同様 長生きはしていません。
それが 仏の情けだったのかもしれません。


およねさんはふたりをしっかりと抱いて 泣きました。
そんな目に遭っていたなんて・・・


およねさんたちにも木の実を渡して食べていただいた後、いよいよおよねさんが長次さんに会います と仰いました。

およねさんの顔には、いつものような笑顔はありません。 きっと前を睨みつけるその姿は、とても凛々しく子供たちを守る母親 そのものでした。

 あんた・・・
 あんたのその姿・・・
 長生きなさったんですねぇ

およね 悪かった! どうか 赦してくれ!

 私があんたのしくじりのために死んだことは、何もおもっちゃいません。
 でも あんたはあのまま 子供たちも捨ててしまったんですねぇ
 あの子たちがどんな風に生きたか それを知ったらまともに会わせる顔はないと思いますがねぇ

いつになく 厳しいおよねさんに、長次さんはタジタジとなりました。

どうか 赦してくれ  怖かったんだ  仕事をしくじっちまったことも 殺されることも・・・
それで 後先考えずに 逃げちまったんだよ 悪かった 本当に済まなかったと思ってる


 もう 良いんですよ、みんな 終わっちまったことですからね。
 今更 詫びられても、あの子たちの人生が真っ当になるわけでもない
 家族4人が笑顔で暮らすこともない・・・


もう 長次さんには言葉がありません。

およね 赦してくれ
こんど おまえと出会えたなら、必ず幸せにするから!

 よしてくださいよ
 次なんか ありゃ しませんよ
 おまえさんと夫婦になるなんて 金輪際考えたくもない

 いいんです、もう終わっちまったことなんだから・・・
 あたしはあんたと暮らした10年ちょっと、まともなおんなとして生きました。
 だから もう 思い残すことはありません。
 あんたは 子供たちに赦してもらってくださいな

おていさんも息子さんも、父親をみると駆け寄りました。
父親の詫びを素直に受け入れ、でもおよねさんと3人で光の元へと還って行きました。


 ひとり残された長次さんに聞いてみました。

皆さん お若い姿でしたが、あなたはずいぶんお年を召していらっしゃいますね。
家族を捨てて町を出た後、どうなさったんですか?

実は・・・

百姓になりました。
倒れてしまったあっしを助けてくれた人のところで、畑を耕しました。
そして そこに婿入りしたんです。
およねよりも 見た目の悪いおんなでしたが、こいつも働き者で・・・

子供も出来たんでさあ

さすがに そんなことをあいつらに聞かせることは出来ませんが・・・


そうでしたか。
それでは もう 遊び人の長次さんはどこにもいないんですね?

ええ もう あれからはすっかり足を洗って、鍬や鎌を持って 静かに暮らしました。


そういうことでしたら、またおよねさんと添うこともあるかもしれませんね。
いまは 頭では赦しても、およねさんのこころは荒く波立っています。
その波が治まったら・・・

もしかしたら また夫婦になることもあるかもしれませんが、それを望むより あの人たちが笑顔で暮らすことを祈ってあげてください。

わかりました

そう言うと、長次さんも静かに 光の元へと還って行かれました。


ありがとうございます(^人^)


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