猫とワタシ

ご供養物語

2014年6月 大日如来さまに導かれて始まった 広く深い故人のご供養のお話

この記事のみを表示する52番目は哲夫さん

供養

 52番目は哲夫さんのご供養をさせていただきました。

哲夫さんと仰るのに、最初から外国の風景を見せていただきました。
なぜでしょう?

その時のお名前は伺いそびれていますので、テツという事でお話させていただきましょう。

テツは、いつも思っていました。
岸壁に建っている白亜の御殿の主人になるのだと。

大人になったテツは、毎日白亜の御殿に出掛けました。
そして中に入れてくれと警護のものと揉めていました。
ある日、御殿の主人が出掛けるところに遭遇し、これ幸いと大声で話がしたい!と叫びました。

御殿の主人は、警護の者にこれまでのいきさつを聞き、興味を持ってテツに話を聞こうと言いました。

私はこの御殿の主人になりたい

テツは臆面もなくそう言いました。

そうか、ではお前は主人になるために、どんなことが出来るのだね?

そう主人に聞かれ、返事に困りました。

おや? 何も出来ないのに、主人になりたいというのかね?
それは無理な相談だ
二度と屋敷には近付くんじゃないぞ!


テツは自分のこれまでを振り返ってみました。
百姓も漁師も、3日で飽きました。
町で仕事を紹介してもらっても、やはり続きません。

俺はあの白亜の御殿の主人になるのだ

そう豪語するばかりで、なんにもできない 何も真面目にやろうとしない男だったのです。


これが私の前世です

哲夫さんは言いました。
今世は真面目に働きました。
そして、白亜の御殿程ではなくとも、大きな屋敷と美しい妻、可愛い子供に恵まれました。

しかし なにか足らない
それが何かわからない

そう仰います。

それでは、と奥様に来ていただきました。

はい、確かに仕事は出来る人でした
子どもも生まれましたが、夫は私や子供には興味を持たず、仕事ばかりしていました

そうでしたか・・・

哲夫さんに来ていただき、その話をしました。

前世私は仕事がないのに、白亜の御殿の主になる事ばかりを考えていました
今世は、御殿に見合う仕事の出来る男になりたかった
だから、一生懸命仕事をしました
それが問題なのですか?

哲夫さん、奥様やお子さんのことはどんな風に考えておられましたか?

妻や子供は・・・
御殿の付属物
居て当たり前の存在でした

その奥さまやお子さんがいることで、安らぎを得たり笑顔になったり、という事はありませんでしたか?

安らぎとはなんでしょう?
笑顔は・・・
可笑しいときには笑っていたと思いますが・・・

その話を聞いていた奥さまは、ふうっと大きなため息をつきました。

そうなんです
本当にその通りなのです
確かに笑顔も見たことはあります
でも、それだけなのです


哲夫さん、今世あなたは一生懸命働き、御殿に見合うだけの仕事の出来る男になりました
とても素晴らしいことですね
どうやら、あなたは物事をひとつずつ解決していかれる方のようです

来世は何が大切になるか おわかりですか?

家族との時間
自分の感情 でしょうか

そうですね
愛という事でしょう
家族といて、何も話をしなくても一緒に居るだけで笑顔になる
そんな感情を味わっていただきたいです

感情・・・
が次のテーマなのですか?

はい、そのようです


ツインソウル
そんな言葉が浮かびました。


奥さまをそっと抱きしめると、哲夫さんは何も言わずに一人で光の元へと還っていきました。


そんな哲夫さんを奥さまは呆れたように見ておられます。

どうされますか?
来世はあなたの望むような夫になりそうですが・・・

私は幸せになりたいと望んでいます
その幸せが彼と一緒になる事であれば、仕方がない
次に出会ったときは従順な妻ではなく、彼が感情を理解できるような
そんな生活が出来る人間で居たいと思います

苦笑しながらも、そうはっきりと仰いました。

出て来られた時よりも活発になって、光の元へと還っていかれました。


ありがとうございます(^人^)
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この記事のみを表示する51番目は三郎さん

供養

 51番目にご供養させていただいた方は、三郎さん と仰います。

はっきりと記憶できていないというのは、陰の薄い方だったからもしれませんが、細面の男性だったように思います。
身なりはしっかりと整えておられました。

どんなことが心残りになっているのですか? とお聞きしました。

ビジョンは、学生帽を被った低学年らしい男児と、ふろしき包みを抱えた和服の女性がこちらに向かって歩いてきています。
その後ろには、鳥打帽を被った年配の男性の姿。

ほとんどの場合、背中を向けているので帰っていることがわかるのですが、お顔が見えるので家を出られたのだな と想像がつきます。


父親が亡くなった後、母親と二人で故郷を後にしたそうです。
母親は紹介された店で、酌婦として仕事を始めました。
夕方からひとり残される三郎さんは、寂しくてある日、そっと母親の店に行ったそうです。

酌婦という仕事がどんなものか三郎さんは知りませんでしたが、たくさんの男たちに尻や胸を触られている母親を見るのは、どうにも嫌な気分でした。

父親が亡くなるまでは、綺麗な着物を着て髪も豊かに結い上げて、それは眩いばかりの美しい母だったのに、今は品のない派手な着物に身を包み、尻や胸を触られても怒りもせずに 笑っている・・・

そんな母親を嫌悪するようになりました。
一切話をしませんでした。
どうしても必要なことがあれば、紙に書いて渡しました。

目を合わせることもありません。

そんな三郎さんを、母親はどんな思いで育てたのでしょう・・・

成績の良かった三郎さんは、離れた地域の学校に進みました。
そして、就職しました。
給料をもらえるようになると、母親からの仕送りは住所不定という事にして送り返すことにしました。

そうやって、母親との縁を切ったのです。

やがて妻を娶り、妻の両親と一緒に暮らすようになりました。
とても素晴らしい人格者だった妻の父親が、ある日三郎さんに言いました。

君は両親の話をすることがないが、おふたりはどうされているんだね?

三郎さんは、初めて母親のことを素直に話しました。
この人なら、自分の思いを理解してくれる と思ったからです。

舅は、思いがけない話を聞かせてくれました。

自分の母親も父親亡き後、女手一つで育ててくれたのだよ
君と同じ思いをしたことがあるんだ
運良く、妻と出会い幸せになれた
娘が出来てから、親の立場でものを考えることが出来るようになり、母親に会いに行ったが既に亡くなっていたのだよ

君の故郷へ行ってみたらどうかね


美しかった母を想い、見知らぬ男たちに尻や胸を触られている母を想うといまだに良い気持ちはしませんでしたが、どんな暮らしをしているのか、気になりました。

結局、舅と同じ。
母は既に亡くなっていました。


あれから私のこころは、母に申し訳なかった という気持ちが消えたことはありません
仕事などしたことがなかった母には、あれしかできなかったのでしょう
しかも 男たちに身体を触られることも、喜んでいたわけではないはず
私を育てるために、必死だったと今はそう 思います

就職してからの私は、母のことをきれいさっぱり切り捨てました
どんなにか 寂しかったことでしょう・・・


そこで、母親に来ていただきました。

老いてもとても美しい方です。

そうでしたか・・・
三郎さんがそんなことを・・・

遠い目をして、母親は話を始めました。

私には三郎ひとりなのですが、実は後添えでしてね
先妻の息子がふたりいたのです
ですから、夫が亡くなると私たちは追い出された格好になりました

店に人を雇い入れるときに世話になっていた男に、私たちは連れられて家を出ました
連れて行かれた先は、一膳めし屋のようなところで・・・

自分で言うのもお恥ずかしいのですが、器量だけは良かったんです
ですからお店の評判は上がり、お給金もしっかりといただくことが出来ました

でもね・・・
三郎さんはすっかり変わってしまって・・・

そこへ三郎さんがやって来ました。

母親を見つけると、駆け寄り母の手を取ってしっかりと顔を見つめました。

おかあさん・・・
随分ひどいことをしてしまいました
どうか 赦してください

そう言うと、大粒の涙をぽろぽろとこぼしました。

母親は、片方の手を引き抜くと三郎さんの背中に回しました。

ご立派になられて・・・
あなたは自慢の息子でしたよ

そう言ってほほ笑みました。
しばらくして、一緒に光の元へと還られるのかと思いきや、母親は三郎さんに先に行くように伝えました。
少し不安げでしたが、三郎さんはひとりで還っていかれました。

お願いがあります

母親が言いました。

三郎さんが出て行ったあと、私は娘を産みました
その子は父親に引き取られ、会うこともままなりませんでしたが、その娘に会う事は叶うでしょうか?

早速 娘さんの様子を見ました。

どうしますか?
お話をされますか?

いえいえ、私が母親だとは知らされていないはず
どんな風に育ったか、それさえわかればそれで充分です

では と、一緒に娘さんの様子を見ることにしました。

とても美しい女性に育っていました。
着ているものや物腰からも、大切に育てられたことがわかります。

良かった・・・

私の子供たちは、幸せになる事が出来たのね・・・

三郎さんと会った時にはこぼさなかった涙をはらはらとこぼしました。

もう心残りはありません

そう言うと、背筋を伸ばし 三郎さんの姿を探すかのように天を見上げ、静かに還っていかれました。


ありがとうございます(^人^)


この記事のみを表示する50番目は二郎さん

供養

 50番目にご供養させていただいたのは、二郎さんです。
二郎さんは、さぶ とも呼ばれていましたし、いくつも名前をお持ちだったようです。

なんと呼ばれても良い と仰いましたが、そうもいきません。
では、ということで二郎さんと呼ばせていただくことにしました。


二郎さんは、温厚な町人という風情でした。
仕事は何を? と伺っても、あいまいな返事しかいただけません。
心残りは何ですか? と単刀直入に伺ってみました。


 二郎さんは30半ばあたりのころ、いつも立ち寄っていた飲み屋の酌婦とねんごろになり、所帯を持ったそうです。

特に働きに行く風でもないのですが、お金に不自由はしていません。
さりとて、豪勢に買い物をするでもなく、豪遊するわけでもなく。
なにで生計を立てているのだろう? と不思議な感覚でした。

どんな仕事をされていたのですか?

仕事 ですか?

少しずつ話を始めてくださいました。

なんですか あたしは品が良いというのか、
良いところの生まれに間違われることが何度もありましてね・・・

そこに目を付けた親分に拾われて、カモを見つけては親分に知らせ、あたしはさっさと逃げてしまう
そんな阿漕なことをやっていました

商家に入り婿の話もしたし
逆に 大阪の商家に嫁入りしないか と誘ったこともあったし・・・
旅の途中で路銀を盗まれた なんて話にも、みなさん 信じてくださってねぇ

おやおや いまで言う詐欺師の片棒を担いでいたようですね。

良いものを着せてもらって、美味しいものを食べさせてもらい、しかも懐もあたたかくなる
これが仕事だなんて思ったことは、一度もありゃしませんよ

そう言って笑いました。

でもね、女房をもらってからはそうもいかなくなったんです
何しろ家が出来ちまいましたからねぇ
留守をすることが難しくなってきた
それに あたしはもうそういうことから手を引きたかったんですよ

酌婦だろうがなんだろうが、あたしにとっては大事な女房ですからね
出来るだけ 一緒に居たい と思ったんです

そんなとき、兄貴分が仕事を持って会いに来ました
女房には気取られないようにしていたんですが、察してしまったようで・・・
どうしたもんか と思っているうちに、兄貴分がまたやって来て・・・

そこで二郎さんは口を閉じました。

察するに、恋女房を殺されてしまったようです。
その後の二郎さんは、旅に出てとある古寺でひとり暮らしながら、朝晩手を合わせていたそうです。

女房はあたしを赦してくれるでしょうか?

それが気に掛かる
そう仰います。

二郎さん ほかの人のことは気になりませんか?
余分なことですが、詐欺の手引きをしていたと仰るあなたは、ほかにも苦しめた人がいるのではないですか?
その方たちのことは、何も気になりませんか?

ご供養する身としては、余計なことなのですが聞いてみました。

ハッとされて、うつむいてしまわれました。
きちんと正座された膝の上に、ポツン ポツンと涙が落ちました。

確かに・・・
あたしは情報を引き出して、親分に知らせ 相手には良い面しか見せていませんでした
結果も特に教えてもらったわけではないので、気楽な商売だ と思ってもいたのです

でも・・・

一度だけ、騙した相手と会ってしまったことがあります
娘が大店の嫁になる と信じた親御さんが大枚はたいて嫁入り道具をこしらえて・・・
結局それが騙されたとわかると、残されたのは借金と娘だけ
親御さんは首をくくり、その娘さんは借金のカタに身売りしたんだと話してくれました

えっ お話されたんですか!

ええ、遊女となっていたその娘を買っちまいましたから・・・

抱くことは出来ませんでした
金だけ置いて 帰ってきましたよ

あたしがやっていたことは、そういうことだったんですねぇ
直接手を下したわけではないし、乱暴を働いたわけでもないので気が付かずにいました


そうでしたか、おわかりいただければそれで充分です
そう言って、木の実をお渡しし、あなたが騙した人たちにも食べてもらってください と伝えました。


一方 二郎さんの恋女房 名前を伺うと、こちらも 千代だったり ミヨだったりといくつも名前が出てきます。
結局 お勝さん と呼ばせていただくことにしました。

好いた腫れたの関係になるわけにはいかなかったのです・・・

二郎さんのしていたことをお伝えしたところ、お勝さんはそんな風に仰いました。

でもあたしもそろそろ 落ち着きたかった
優しい人だし、静かに暮らせれば それで良いと思っちまったんです

でも、そうはならなかった・・・
なにか 隠していることがある そう思っていました
あの人が先に逝っちまって、その後でいろいろ知らされるのは、御免被りたかった
だから 先に逝けたのはありがたいと思っていました

二郎さんに来ていただき、お勝さんの言葉を伝えると二郎さんはたいそう喜びました。

そう言ってくれて 本当にありがたい
あたしのせいで お前を早死にさせてしまったと後悔していたんだよ

二郎さんはお勝さんの手を取って、涙を流しました。

心残りが無くなった二郎さんは、すぐにでも光の元へと還ろうとしています。

先にいってくださいな すぐに後を追いますから・・・


お勝さんは二郎さんの姿が見えなくなると、ふっと肩の力を抜きそれまでよりもくだけた風になりました。

あの人には申し訳ないと思いますがね・・・

えっ?

いえね、別にあの人が悪くてあたしが殺されたわけではないんです

はっ?

あははっ あたしも同じ稼業だったんですよ


あたしを斬ったのは、あたしの仲間です
あの人は関係ありゃしない
足抜けをしようとしたから 逃げようとしたから斬られちまったんです

何も知らずに あの人は自分を責めていたんですねぇ
あたしは何も知られずに 先に逝っちまったことをやれやれ と思っていたのに・・・

なんだか 申し訳ないことをしちまいましたね

そう言って少し しんみりされました。

聞いてましたよ
ですから、木の実はたくさん振り撒きました

こんなあたしですからねぇ
流石にあの人と一緒に還るというのは、違う と思いましてね
でも もう良いでしょう

還らせていただきます


そう宣言されると、白い龍にのってぐんぐん天に昇って行かれました。


ありがとうございます(^人^)