猫とワタシ

ご供養物語

2014年6月 大日如来さまに導かれて始まった 広く深い故人のご供養のお話

この記事のみを表示する41番目は佐吉さん

供養

 41番目は佐吉さん と仰る桶職人さんのお話です。

佐吉さんは農家の息子として生まれました。
しかし 貧乏人の子だくさん・・・
父親は、こんな生活はさせちゃ なんねえ と、まだ幼い佐吉さんを知り合いの桶職人の親方に預けました。

その親方は、とても無口な人で佐吉さんは何も 言葉で教えてもらうことはありませんでした。
じっと 親方の手元を見つめ、一生懸命倣いました。

やがて 一人前の桶職人として親方にも認められ、いずれはひとり立ちするように言われていたころ、娘を連れて出て行ったはずのおかみさんが帰ってきました。

親方はおかみさんが家に入っても 何も言いません。
娘には優しいまなざしを向けていましたが、それでも少しばかりの言葉がけだけで 会話はありませんでした。

そんな中、佐吉さんはおかみさんに言い寄られ 男とおんなの関係になってしまいました。
それを恥じて 親方に顔向けならない と思うようになりました。

親方もそれとなく 様子を察して、佐吉さんに おかみさんと一緒にここを出て所帯を持つように と言いました。

自分の親に近い年齢のおんな それも親方のおかみさんだった人と所帯を持つ・・・

佐吉さんは悩みましたが、親方に言われては仕方がありません。
おかみさんと二人で 暮らすようになりました。
仕事は出来ましたから、ふたりは世間の噂には知らん顔して 生きていきました。


佐吉さんはなぜ ここにいるのでしょう?
私は不思議に思いました。


実は、私は親方の娘の おみよさんを好いていました
おみよさんもきっと 私を好いていたはずです

でも私はおみよさんのおっかさんと所帯を持つことになってしまった・・・

私は、決して幸せに暮らしたわけではないのです
おみよさんを思いながら、その人のおっかさんを抱く

そのおんなに溺れましたが、元はと言えば親方と夫婦だった人
なんとも吹っ切れない思いに、私は仕事に夢中になりました

結果 私たち みんなが幸せにはなれなかった と思うのです


話を聞いて 何ともやりきれない思いになりました。

確かに 複雑な家族関係 夫婦関係です。
おみよさんは生涯 佐吉さんを思って嫁に行かなかった とも言います。

いろんな事情があって 私があれこれ言う立場にないこともわかっていながら、つい 言ってしまいました。

あなたは何がしたいのですか?
来世 どうなりたいと言うのですか?

あなたが不幸な顔を見せるから、いつか戻ってくれるのでは とおみよさんは待ったのではないですか?
溺れた というあなたの女房になった人も あなたがいつか本当に愛してくれる と待ったのではないですか?

なんという 優柔不断さ・・・


ここまで言って、はっと大日如来さまを仰ぎました。

私が言ってはいけないことですね?

大日如来さまは、首を横に振られました。

良いんです、言っておあげなさい


それに勇気を得て、私は続けました。

こころの相性もあるでしょうが、身体の相性もとても大切なことですよ
それだけでも あなたは幸せだったのに、おみよさんとこころが通っている とばかりに 女房の身体に溺れながらも 愛そうとはしませんでしたね

それは単に 女房を利用したことになりませんか?
一方では充分に満足していながら、おみよさんや世間に見せる顔は憂い顔
これでは 女房は浮かばれませんよね

自分の母親を 自分の好いた人が女房にしている
それだけでおみよさんは ずいぶんと辛かったはずです
それでも 佐吉さんが幸せそうに見えたなら、おっかさんも佐吉さんも幸せなのね とあなたを諦めて自分の幸せをつかむことも出来たでしょう

自分を不幸に見せて、おんな二人を不幸にしたあなたは自分が不幸せだったことを嘆くより、女房にも おみよさんにも赦してもらうことが必要なのではないですか?


佐吉さんは ハッと表情を変えました。

私は自分の思いだけしか 気に掛けていませんでした
望んでもいなかった 年の離れた しかも 親方と夫婦だったおんなと夫婦になったことが まずは気まずく不幸だ と思いました
世間さまは、親方の女房を寝取ったひどい弟子 と罵りましたが、私は利用されただけ・・・

それでも夫婦になってからは、確かに女房に溺れました
それが悔しく 情けなかった・・・
だから 男として抱くとき以外に あの人を女房だと思ったことはありません

そんな気持ちだったから、おみよさんが嫁に行かないことは私にとっては 本当に幸せなことだったのです

でも 言われてみれば、私が幸せにすべきはおみよさんではなく、女房だったのですね
よーくわかりました


佐吉さんはそう言って、女房を呼びました。
悪かったね と言って、木の実を差し出しました。

最初は確かに あなたを利用したの
でも 所帯を持ってからは、あなたを大事に考えて生きた
それは わかってほしい

女房は言いました。

うんうん と佐吉さんは優しい目で 女房に頷きました。


そんな二人を見て おみよさんも微笑んでいます。

佐吉さんを好いていたから 嫁に行かなかったのではなく、おとっつあんのこともあったし おっかさんが幸せそうには見えなかったから・・・
もし 帰って来ても、あたしがいなければおとっつあんは家には上げないでしょうからね・・・


あらあら 佐吉さんを想って お嫁に行かなかったわけではないのですね(笑)

それを聞いて 佐吉さんは苦笑しました。
そして しっかりと理解しました。

私が女房を愛していれば、おみよさんも幸せになれたんですね


親方も木の実を食べて、みんなで輪になり しっかりと光を浴びると どんどんと昇っていきました。


みんなで と思いましたが、実際には佐吉さんの女房が 残っていました。

ありがとうございました
私が親方を不幸にし おみよも佐吉さんも不幸にした と思っていました
確かに 私はみんなを不幸にしたでしょう
でも 佐吉さんと暮らして あの人を大切に想って生きたのです

これで やっと報われました


そう言うと、佐吉さんを追いかけるように 昇っていきました。


ありがとうございます(^人^)




スポンサーサイト

この記事のみを表示する40番目は田吉さんとよしさん

供養

40番目のご供養は 田吉さんです。

田吉さんは大きな庄屋のひとり息子として 大切に育てられました。
歳の離れた姉がひとり いました。

田吉さんはとても甘えん坊で、いつも母親を追っていました。
父親も姉も、田吉さんが幼いころは苦笑しながら見守っていましたが、成人しても嫁取りの話にまったく興味を示さない田吉さんを困ったものだ と叱るようになりました。

それでも 田吉さんは母親一番で、父親の話も 姉からの説教にも耳を貸しません。

結局 後継ぎがいない ということで庄屋さんはつぶれてしまいました。
村には、庄屋さんと肩を並べるほどの豪農が居まして、そこに姉が嫁いだこともあって その後の村の取り仕切りには問題ありませんでしたが、姉はずいぶんと歯がゆい思いをしました。

田吉さん 何が問題だったのですか?

そうですねぇ 私は母と暮らせて幸せでしたが、やはり 家をつぶしたことでしょうか・・・

なんだか さほどの反省も感じられないのですが・・・

ええ それほど悪いことをしたと思っていないのですよ

それでも ご供養を希望されるんですね?


なんとも不思議な関係でした。

田吉さんと母親のよしさんとは、本当に大の仲良し。
それを苦笑しつつも 見守っている父親と姉。
母親は成人した田吉さんに縁談が持ち込まれても、勧めることもせず かといって断ることもせず・・・

そういう母親に父親は苦い顔をしますが、田吉さんも縁談のことは全く気にせず よく働いていましたから、何とはなしに延びていたのでした。

事情が変わったのは、よしさんが病を得て急に亡くなってしまってから。
田吉さんはまるで生きる気力を無くしたように元気がなくなり、やがて母親のよしさんを追うように亡くなりました。


なぜ ここまで田吉さんは母親のよしさんに固執したのでしょう?

田吉さんとよしさんの過去生をみせてもらいました。

その時代は、よしさんが田吉さんの娘でした。
その当時も とても仲の良い父と娘でしたが、ある時 娘が川に落ちて流されてしまいました。
その娘を助けることのできなかった父親は、どんなにか 自分を責めたことでしょう。

川に落ちた娘が 母親のよしさん
川に落ちた娘を助けることが出来なかった父親が 田吉さん

次の世では必ず 護るんだ と強い決意で、よしさんを選んだんですね。
そして 息子としてしっかりと 母親を護り 最期を看取ってそして 自分も後を追っています。


こういうご縁は、どこかでしっかりとご供養しないとずっと繰り返します。

そういうことだったのですね・・・


田吉さんとよしさんに愛と信頼の木の実を食べてもらいました。

ふたりは向き合って 笑顔で食べ続けています。
さまざまな思いが去来しているようです。
言葉はなくても 通じ合っているんですね

やがて二人は笑顔のまま 光の元へと還っていきました。

そこへやってきたのは、田吉さんのお姉さんです。
聞くとは無しに 聞こえたようで、納得したように言いました。

そういうことなら 仕方がないわね・・・

お姉さんも木の実を食べて、やがて光の元へと還っていきました。


ありがとうございます(^人^)