猫とワタシ

ご供養物語

2014年6月 大日如来さまに導かれて始まった 広く深い故人のご供養のお話

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この記事のみを表示する38番目は源三さん

供養

 38番目は、大店の手代 源三さんのお話です。
手代 という立場は、番頭さんと丁稚さんの中間だそうです。


 源三さんには、好いたおんなが居たそうです。

同じお店で女中をしていた、明るくて気立てのよい しかも 綺麗なおんなだったそうです。

いつか 旦那さまにお願いして、夫婦にしてもらえたら と思っていました。


 しかし ある日そのおんなはお暇をもらってお店から姿を消しました。

どうしたことだ? と思っていると、旦那さまからの頼まれごと。

そのおんなは、旦那さまのお手が付いて 子が出来たのだそうです。

それでは体面が悪い と暇を出されましたが、住まいを用意し これからの暮らしが出来るように月々なにがしかを届けてほしい という事でした。


 源三さんはびっくりしましたが、仕方がありません。

そのおんなのところへ金子を持って毎月出掛けました。

おんなは源三さんが来ると とても嬉しそうにします。もちろん 源三さんも笑顔で楽しげでした。


 そんなある日、旦那さまは源三さんに女房を娶るように言いました。

そのおんなも、お店で女中として働いていました。断ることも出来ず、源三さんは女房持ちになりました。

女房にも、毎月金子を届けに行くおんなのことは知らせませんでした。

既に 男の子が生まれ、大きくなり 源三さんになついていました。

 これが本当の家族だったら・・・

好いたおんなと、坊主と私・・・

 何度もなんども 妄想しました。


そしてある日、おんなにその想いを伝えたのです。

あなたと夫婦になり こんな風に子がいる そんなことを何度もなんども思いました。

すると おんなは大粒の涙をポロポロこぼし、ついには突っ伏して声を上げて泣き始めました。


 私の思いは、無駄ではなかったのですね・・・

私も お店に奉公に上がったときから、あなたを目で追っていました

いつか 夫婦になれたら良いな そんな風に思い描いていたのです

それがこんなことになって・・・

この子があなたの子なら どれだけ幸せか・・・

いつもいつも そう思って暮らしてきました


源三さんの思いは報われたのです。

しかし ふたりが夫婦になる事は出来ません。


やがて ふたりはこの世で思いを遂げられないなら と思い詰めるようになりました。

そしてある日、心中を図ったのです。

とは言え、おんなと子供は源三さんの手にかかり 命を落としましたが、源三さんは死にきれませんでした。

 
 捕えられ 遠島を申し付けられ その地で果てたのでした。



生き残ってしまったことを詫びたい と仰います。

そこで 源三さんの手にかかったおんなと子供に来てもらいました。


良いんです、私はあれで充分でした

源三さんの思いを知ってからも、旦那さまは私を求めて何度か 来られました

そういう生き方に ほとほと嫌気がさしていましたから・・・


源三さんに来ていただきました。


しっかりと抱き合い、泣いておられました。

次の世は、ふたりで幸せになろうな

そう 源三さんがおっしゃったので、失礼ながら水を差しました。


いえいえ それはなりません。

いま 来世のことを約束することは、今のあなたたちをつくることになります。

お互いの幸せを願ってください。

そうすることが、おふたりが幸せに巡り合うことに繋がるでしょう。


源三さんは、女房にも謝りたい と仰いました。

 現れた源三さんの女房は、笑顔で言いました。

やっと誰にも邪魔されずに すむんだねぇ
あたしは ずっと二人を見ていたらから、どんだけじれったかったか(笑)

あたしのことは良いんです 気にせず 一緒にお行きなさい^^


なんとも 気風の良い女性です。

源三さんたち3人が光の元へと還った後、女房はしばらくの間 黙々と愛と信頼の木の実を食べていました。

ふふふっ いいおんなを気取ってみたけれど、あたしは源三さんに ずっと先から夢中だったんですよ

 叶わぬ恋もなかなか 乙なもんですね^^


そう言って にっこり笑うと、ビューンと光の元へと還っていかれました。


ありがとうございます(^人^) 
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この記事のみを表示する37番目 謙次さんと弘二さん

供養

 坊主頭のおふたりが ご供養のために出てこられました。

まるで親子ほどの年齢の差があるようです。どうしたものか 上の方に聞いてみました。


 特に関係があるという事ではありません
どちらかおひとりのご供養をそばで見ていれば、自ずと理解される 
ですから、あなたがおひとりを選んで ご供養しなさい


先に出てこられたのは年配の方ですが、自ずと理解される という事であれば、お若い方のご供養が適切だろうと考えました。

 お若い坊主頭の方は、謙次さん と仰います。
うまく説明できそうにない という事でしたから、おふたりには木の実を食べていただき、私は生きざまを見せていただきました。


 かなり裕福な農家の坊ちゃんのようです。
中学校から肩からかける鞄を縁側に投げ出すと、おやつは何? と聞きました。

縁側でむしろの上で豆を選り分けていた年配の女性は、おばあちゃんだそうです。
台所に置いてあったふかし芋をほおばると、謙次さんは友達の家に駆けて行きました。

しばらくして 大柄な男性=父親とおとなしそうな年配の男性=おじいさん が帰ってきました。
ふたりとも あまり陽気ではなく、どちらかと言えば不満を抱えている様子・・・
その後には、謙次さんよりも年嵩の女性が赤ん坊を背に 足元の小石を蹴りながら、こちらも うんざりだな~ といった感じで帰ってきました。

この女性はお姉さんだそうで、赤ちゃんは彼女の子供です。

この家族に欠けているのは、謙次さんの母親の存在。
いつも元気に笑っているのは謙次さん一人。
おばあさんは常に平然としており、ほかの家族は不機嫌そうに黙っています。


ここまでみて、謙次さんに訊ねました。
おかあさんはどうされたんですか?

僕はよう 知らんのです。
僕の家には、秘密がようけぇ あるようじゃけど、それを僕には誰も教えてくれんのです。

その後の謙次さんですが、高校生になったころ 川でおぼれて死んでいます。


僕は母親ちゅうのを 知らんのです。
おばあちゃんが母親代わり。
でも おかしいんです 姉ちゃんはしばらく居らんことになっとって、帰ってきたら赤ん坊を連れとった。
父さんも 毎月何日かは泊りがけでどこかに行っとるんです。

そういうことを 僕はなんにも知らされんと、おばあちゃんと待っとるだけ。
おかしぃないですか?


 お父さんたちを呼んで良いですか?

 お父さんとお姉さん、そしてその後ろに隠れるようにして おじいさんが来られました。

謙次さんが、お母さんのこと、お姉さんと赤ちゃんのこと、お父さんの毎月泊りがけで行く先のことを知りたい と言っておられますよ。


そうですか・・・
では すべてお話しましょう。

まず 姉のこと。
娘は母の嫌う相手と恋に落ちました。
妊娠すれば、結婚できるだろう と考えたようです。
しかし 養子娘の母は、そういったことを許しませんでした。

ですから、妻のところへ身を寄せて 子供を産んだのです。


えっ 妻と仰いましたか?
奥さんは 生きていらっしゃる?


はい 小夜子と言いますが、母は小夜子を気に入って私の嫁に迎えました。
しかし、誰にでも優しかった小夜子の行為を 養子の父は勘違いしてしまったのです。
父は、母に対するよりも 小夜子に対して優しくなりました。

それに気が付いた母は、父を追い出すのではなく 小夜子を追い出してしまったのです。

でも、離縁にはしないでくれました。
母と父が逝ったので、小夜子を家に連れて帰りましたが、その頃には謙次も死んでいたのです。

もちろん 娘も赤ん坊の父親と祝言を挙げました。
みんな 思うとおりになったのに、謙次だけはそこに居なかったのです。


謙次さんはその話を 近くでみんな 聞いていました。

 おばあさんにも来てもらいましょうか?

もちろんです!

 おばあさんが来られました。
小夜子さんを見つけると、おばあさんは縋るようにして小夜子さんの手を取り、すまなかった と涙を流しました。

小夜子さんもその姿を見ると、涙をこぼしながら 言いました。

良いんですよ もう 済んだことです。
養子娘のおかあさんは、あんな風にしか生きられなかったんですよね。

逆に、私はおかあさんの命が尽きる日を心待ちにしていました。
どうか 赦して下さい。

おじいさんも娘さんも 言いたいことはあったでしょうが、おばあさんとおかあさんの姿を見て すべてを納得したようです。

そこへ謙次さんも加わり、家族全員で一度は大泣きしたものの、笑顔で涙を拭き 静かに光の元へと階段を登っていきました。


さて その様子をみていた 弘二さん。

いかがでしたか?
なにか 思い当ることは おありですか?


そうですね・・・
私の母も養子娘でした。
父が私の妻に異常に優しくした という事実は知りませんが、それでも妻を追い出そうとしたのは一緒です。

その時、私は母を捨てました。
妻を選び、生涯母には会いませんでした。


どうされますか?
おかあさんに来ていただきますか?


そうですね、会って詫びたいと思います。


来られたのは、地味なれど値段の張りそうな着物をすっきりと着こなしたご婦人です。

その姿をみると、弘二さんはすぐにひざまずき 申し訳ありませんでした と仰いました。

手を挙げなさい。
私はあなたを恨んだことはありません。
子供はいつか 親を越していくもの。

ただそれだけのことです。
ひとりになっても、私には書道のお弟子さんたちがいましたから 寂しい老後ではありませんでした。
安心なさい。

弘二さんはしっかりと 母親の手を取ると、ゆっくりと光の元へと還っていきました。



ありがとうございます(^人^)

 


この記事のみを表示する36番目 長次さん

供養

 私事ながら、6月腰を痛めて ほぼひと月 寝たり起きたりの生活をしました。
その間 御宿かわせみ を皮切りに、時代物のドラマや映画をこれでもか というくらい観ました。

 今日 半年ぶりのご供養ではそのイメージが強く、何度も深呼吸が必要になりました(笑)

 江戸時代の理不尽な生かされ方を繰り返し観たことで、それが小説を元にしたドラマであってもたくさんの方たちに愛と信頼の木の実を食べていただくことが出来ました。
無駄なことはひとつもない 怠けすぎたかな と思う私に、そんな言葉がおりてきました。


さあ 36番目の長次さんのご供養物語に移りましょう。

 長次さんは小ざっぱりとしたなりの町人でした。
およねさんという とても笑顔の可愛い 働き者の女房が居ます。
おてい という娘と、名前を教えてもらえなかった息子もいて それは楽しく暮らしていました。

 と言っても、長次さんは遊び人というのが仕事。まともな仕事には就いていません。
ですから、およねさんが一生懸命 縫物をして暮らしていました。


 長次さんは言います。

 あっしは父親が長患いのうえ死んじまって、おっかあも惨めな暮らしをしていました。
子供のころから 笑い声なんか聞こえてこない くら~い暮らしをしていたんでさあ。

おとなになって、一膳めし屋で働いているおよねと出会ってみると、人ってぇのは こんなに笑えるんだな と大いに驚きました。
そんなおよねとあったけぇ暮らしがしたくて 夫婦になったんでさあ。

それでも あっしはまともな仕事に就くこともせず、もっぱらおよねの手仕事で食いつないでいたんでさあ。

ある日 あっしは遊び人仲間に持ちかけられた仕事でしくじっちまって、殺されかけたんでさあ。
それが恐ろしくて およねと子供たちを置いて、ひとりで町をでたんでさあ。

どうなったか それを思うとおちおち死んでもいられませんや。


 それでは と長次さんには木の実を渡し、およねさんに来ていただきました。

 
事情を説明すると、およねさんは子供たちがどうなったのか 知りたい と仰いましたから、おていさんと息子さんにも来ていただきました。

 おていさんは、長次さんが出奔した後父親の遊び人仲間におよねさんを殺され、置屋に売り飛ばされていました。

 私はあの時 10歳でした。怖かった とても恐ろしかった・・・
置屋に連れて行かれ、下働きを数年した後 私も女郎になりました。
父を恨んだことはありませんが、なぜ こんなことになったのだろう と繰り返し考えました。

結果、おていさんは女郎になってそれほどの年月も経たないうちに病気になって死んだそうです。

息子さんは8歳でした。 父親が居なくなり、母親は目の前で切り殺されて、姉とは離れ離れにされました。

 4人で暮らしていたころは、あんなに楽しかったのに・・・
みすぼらしい うす汚れた部屋で、使いに出され 殴られ 蹴られて 数年を過ごしたそうです。
ある程度の年齢になると、悪事を仕込まれ 裏街道を生きたようです。

おていさん同様 長生きはしていません。
それが 仏の情けだったのかもしれません。


およねさんはふたりをしっかりと抱いて 泣きました。
そんな目に遭っていたなんて・・・


およねさんたちにも木の実を渡して食べていただいた後、いよいよおよねさんが長次さんに会います と仰いました。

およねさんの顔には、いつものような笑顔はありません。 きっと前を睨みつけるその姿は、とても凛々しく子供たちを守る母親 そのものでした。

 あんた・・・
 あんたのその姿・・・
 長生きなさったんですねぇ

およね 悪かった! どうか 赦してくれ!

 私があんたのしくじりのために死んだことは、何もおもっちゃいません。
 でも あんたはあのまま 子供たちも捨ててしまったんですねぇ
 あの子たちがどんな風に生きたか それを知ったらまともに会わせる顔はないと思いますがねぇ

いつになく 厳しいおよねさんに、長次さんはタジタジとなりました。

どうか 赦してくれ  怖かったんだ  仕事をしくじっちまったことも 殺されることも・・・
それで 後先考えずに 逃げちまったんだよ 悪かった 本当に済まなかったと思ってる


 もう 良いんですよ、みんな 終わっちまったことですからね。
 今更 詫びられても、あの子たちの人生が真っ当になるわけでもない
 家族4人が笑顔で暮らすこともない・・・


もう 長次さんには言葉がありません。

およね 赦してくれ
こんど おまえと出会えたなら、必ず幸せにするから!

 よしてくださいよ
 次なんか ありゃ しませんよ
 おまえさんと夫婦になるなんて 金輪際考えたくもない

 いいんです、もう終わっちまったことなんだから・・・
 あたしはあんたと暮らした10年ちょっと、まともなおんなとして生きました。
 だから もう 思い残すことはありません。
 あんたは 子供たちに赦してもらってくださいな

おていさんも息子さんも、父親をみると駆け寄りました。
父親の詫びを素直に受け入れ、でもおよねさんと3人で光の元へと還って行きました。


 ひとり残された長次さんに聞いてみました。

皆さん お若い姿でしたが、あなたはずいぶんお年を召していらっしゃいますね。
家族を捨てて町を出た後、どうなさったんですか?

実は・・・

百姓になりました。
倒れてしまったあっしを助けてくれた人のところで、畑を耕しました。
そして そこに婿入りしたんです。
およねよりも 見た目の悪いおんなでしたが、こいつも働き者で・・・

子供も出来たんでさあ

さすがに そんなことをあいつらに聞かせることは出来ませんが・・・


そうでしたか。
それでは もう 遊び人の長次さんはどこにもいないんですね?

ええ もう あれからはすっかり足を洗って、鍬や鎌を持って 静かに暮らしました。


そういうことでしたら、またおよねさんと添うこともあるかもしれませんね。
いまは 頭では赦しても、およねさんのこころは荒く波立っています。
その波が治まったら・・・

もしかしたら また夫婦になることもあるかもしれませんが、それを望むより あの人たちが笑顔で暮らすことを祈ってあげてください。

わかりました

そう言うと、長次さんも静かに 光の元へと還って行かれました。


ありがとうございます(^人^)


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