猫とワタシ

ご供養物語

2014年6月 大日如来さまに導かれて始まった 広く深い故人のご供養のお話

この記事のみを表示する35番目は ふくさん

供養

 ずいぶん間が空きました。
やっと ご供養させていただける そんな気持ちになりましたので、続けていきます。

さて 久し振りのご供養は、見るからに福々しい様子の女性で、お名前もふくさん と仰います。

どんなことを気に病んでおられるのでしょうね。


 生きざまを見せていただきました。

いきなり 男性を足蹴にしている女性です。これがあの ふくさんですか?

 ここからはふくさんの ひとり語りになります。


 私たちは居どころのない夫婦でした。気の弱い亭主と亭主の分まで気の強い私・・・

見知らぬ村や町へ辿り着き、やっと暮しが安定したな と思う頃、災難が降りかかります。
それは 馴染みのない土地、馴染みのない村人たちだから だったと思います。
何かあるたびに 気の弱い亭主が矢面に立たされ 結果二人で逃げたのです。

最初にお目にかけた醜態も、あれはお芝居です。
ああやって 亭主が逃げ出す その亭主を追いかける という形で 何も持たず 私達夫婦は次の町へと流れていきました。


 そんな私たちにも 子供が出来ました。
その息子が本当の福を運んできた と私たちは喜びました。

 成人し、嫁ももらいました。気立てのよい嫁で、子供も生まれ、これで安心 と胸を撫で下ろしました。

ところが 息子夫婦は流行り病に倒れ、あっという間に二人とも死んでしまいました。
残された孫を私達は必死で育てましたが、何しろ 子供を育てるには年を取り過ぎていました。


 孫は成人する前に私たちに愛想を尽かし 出て行ってしまいました。
それきり 行方が知れず 私たち夫婦の命は尽きました。

 息子夫婦になんと言い訳したら良いのやら・・・



 ふくさんに 今日の木の実(木になっている実)ポンカンを渡しました。

美味しいねぇ と目を細めて食べてくださいました。
そして おじいさんにも息子夫婦にも食べさせたい と仰り、みなさんにも来ていただきました。

 申し訳なかった と謝るふくさんに、息子さん夫婦は気に病むことはない と背中をポンポン と叩きました。
ちっとも ふくさんを恨んだり 怒ったりしているふうではありません。

 
 そのうち 孫もやってきました。
肩で風を切って というやくざものに見えます。

ふくさんのところに来て、世話になったな と言いました。
恨んじゃいないさ。ただ あんたたちには嫌気がさしただけさ

 そんな風に言いました。
それを諌めて 木の実を渡す ふくさんの息子さん。


 こんな風に生きていたって、弱いものを虐めたりはしていないんだ!
義理と人情に生きてるってだけよ!

そんな風に言いましたが、木の実を食べ始めると目からは大粒の涙がこぼれはじめました。
そして 口に木の実が入ったまま 膝をつき おいおい声を上げて泣き始めました。

 寂しかったんだ
おれは 寂しかったんだよ!!

その姿を見て 息子さんが ふくさんがすぐに孫を抱きしめました。
悪かったな 悪かったな としっかりと抱きしめました。


 誰が悪かったわけでもなく、みんな一生懸命に生きたのですが、思いはそれぞれ空回りしたのかもしれませんね。

 たくさん木の実を食べて、そしてみんな笑顔で 光の元へと還っていきました。
なぜか みな 白い衣装を着て ゆっくりと階段を昇っているようでした。

その先には、観音さまがゆったりと微笑んで 待っておられました。


ありがとうございます♪
スポンサーサイト